インタビュー
音楽喫茶MOJO 工藤昭太郎さん、工藤絵里子さんにお話をうかがいました
オーナーは、以前サラリーマンをされていたとお聞きしましたが、どのような経緯で飲食店を経営されることになったのですか?
昭太郎さん(以下昭) 平たく言うと会社勤めがめんどくさくなっちゃったんですよ(笑)。どうせなら自分の好きなことをやっていこうと思ったのがきっかけで、料理を作るのと音楽が好きだったので二つを合わせちゃおうと音楽喫茶になったのかな。遊びに行くなら居心地がいいところに行きたいでしょ?ゆっくり演奏を聴きながらくつろいで食事できたりしたらいいなって思いついた。
最初はお店を借りて料理を出しつつライブパーティーをやってたんですよ。そしたらそこのオーナーに店にできるよ!やってみなよ、と助言をもらって、サラリーマンからドロップアウトしたんだよね。もうネクタイするだけで頭が痛くなっちゃって(笑)。21歳から勤めてた会社を30でやめて、3年ぐらい飲食店に修行に行って、その後始めたのがこの店です。
奥さまは、いつ頃からこちらのお店をやられていますか?また料理の道に進むきっかけを教えてください。
絵里子さん(以下絵) 2004年7月のオープンから、主人と共にお店に立ちました。もともと主婦として、料理はやっておりましたが、お客様に提供する料理を作る事になったのは、MOJOを始めてからです。
オーナー様とのお店での役割分担を教えてください。
絵 主人はお店の看板・象徴として、全体の運営統括。及びライブ関連全般の担当。もちろん調理・接客。全てにかかわる存在です。私は、主に調理・接客を中心に、経理を担当。とは言え小さい店なので、二人協力して、お互い全てにかかわっています。

オーナーは二十歳からお店めぐりをしていたとお聞きしましたが、思い出のお店は?
昭 よく行っていたのは汚くてママが一人でやってて訳の分からない親父がたむろしている店で(笑)。でもそこでひとつのコミュニティを感じたんですよ。飲食店の意味って酔っ払いたいだけならコンビニで酒買って家で好きなだけ飲めばいい。なのになんでバーにチャージ払って飲みに行くのかっていうのはそこに集まる人が面白いからで、情報交換ができたり、あるいは恋人ができることもあるわけでしょ。
そういったコミュニティの形に影響されて今のスタイルがあるのですか?
昭 世の中を楽しく生きるにはいろんな方法があるんですけど、一番大事なのって仲間を作ることだと思うんですよ。何か共感が出来るってのは対面したときのほうが効果がでかいじゃないですか。人間てひとりで生きていけるものじゃないから。
お客様はどういった方が多いですか?
昭 自分はターゲット層とかマーケティングとかするのが嫌いでそういう発想がないんです(笑)。結局、コミュニティが作りたくってこの店やってるんで、客単価が500円あがったとか、前年より年商をあげたいとか、そういうのってほんとに幸せなのかなと疑問に思うわけですよ。利益だけを追ってる所謂「勝ち組」な店よりも、価値観がマッチしてこの空間が好きで集まってくれている、そのほうが豊かなコミュニティになるんじゃないかな。それで細くても長く続いたほうがみんなにとって幸せなんじゃないかなって思う。
スタッフの方々に接する際、意識していること、気を付けていることはありますか?
絵 お陰様で歴代のスタッフの皆さん、そして現役のスタッフの皆さんに、本当に恵まれています。14年以上続けて下さっている方もおります。意識していることは、スタッフの方々が働きやすい環境を整えるべく、出来る限り配慮することでしょうか。スタッフが楽しく働くと、自然とお客様の気持ちも楽しくなると思いますので。

今、飲食店がコロナの影響で大変だといろいろなお店から伺いますが、オーナー様もその影響を感じたりしましたか?
昭 ありますね。(緊急事態宣言出された影響で)貸し切りの宴会が全部なくなったというのがでかいですね。うちはイベントをやる店でもあるからイベントが軒並みキャンセルになって…。逆に個人で来てくれるお客さん・常連さん達が比較的多いので、常連さん達がよく来てくれて支えていただいたというのがありますね。
緊急事態宣言から数か月たちましたが、現在はどうでしょうか?
絵 現在もやはり、会社様の大きい宴会等はほとんど入りません。しかしながら、少しずつ人数を制限したライブなども開催し、常連のお客様に支えて頂きながら、営業しております。
お店としてコロナへの対策で行っていること、緊急事態宣言後に取り組み始めたことがあれば教えてください。
昭 徹底的に消毒をしていることですかね。基本的には飲食店なんでそもそも消毒はしているんですよ。今まではドアノブとか人が触るところは普通に拭くくらいでしたけど、今はアルコールで消毒していますね。幸い2階のお店なんで窓を開けっぱなしにして営業できるんで非常に効率のいい換気はできてますね。

ちょうど二年前にインタビューさせていただいた際に、55歳になったら映画を撮りたい、野菜を作りたい、豆腐を作りたいなど、新しいことに挑戦する夢を教えていただきましたが、いまもやりたいことは増えていますか?
昭 いや~2年前に話したことは今でもプランとして頭の隅にはあって、現実的な年齢に近づいてきてるんだけど…。色んな土地に行って試してみたいなというのこともあったんだけど、(今は)所沢をちょっと出たくなくなってなってきた。いろんな方が今まで支えてきてくれて、その人たちの期待を裏切ってしまうのは心苦しいなというもあって…出来る限りつづけてもいいのかな…とは思っている。なので今はその時のプランはあまり明確にしていないです。
所沢に対して愛着というか…しがらみですよね。それは不義理ができないのかな~という義務感みたいのは多少ありますね、今。自分で商売やっているんだけれども、自分だけの店じゃなくて、みんなの店になってるから。お客さんのために商売してきて、それがまさにお客さんが来なくなるとさみしいっていう方がたくさんいるんで、ちょっといろいろ考えますよね。
コミュニティができる場のようなお店を提供していきたいとのお話でしたね。
昭 そう、まさに今コミュニティが出来ているんです。
デリバリーを頼んでくださるお客様へメッセージがあればお願いします!
昭 色んな人に食べていただければ幸いです!
(取材日:2018年9月25日・2020年10月15日)
